概要
このコラムでは、私たちの庭小屋ができるまでの様子を、実際の工事記録を見ながら、ご紹介させていただきます。
写真奥が隣家との境界になり、遮蔽と物置を兼ねた「庭小屋」を欲しいというご要望を頂きました。庭小屋は、塀の替わりに遮蔽として活用されることが実際多いです。場所として玄関脇の裏庭にあたります。
小屋の基礎は、通常の家建築のようなカタチで作る場合もあれば、今回のようにブロックで作る場合、また、基礎を作らない工法あります。土間を引く場合、一般的にはブロック等で制作します。
基礎の上に柱を組み、筋交いなどを入れ、コンパネを張っていきます。この辺りは在来の木造工法と変わりません。
窓やドアは、メーカーのサッシやドアを使うこともありますが、オリジナルで制作することもあります。今回はオリジナルのウッドドアとウッドの窓を制作しました。オリジナルの場合、既製品ではありませんので、大きやデザイン、色などご自由にお選び頂けます。 また、既製品のサッシの場合、事前にご相談頂いて、ネットなどで安く購入して頂き、「お施主様の材料支給」というカタチも可能です。さらに、アンティークのドア、窓なども取り付け致しますので、アンティークショップなどでご購入頂いたモノをこれを「材料支給」としてお渡し下さるのも大丈夫です。
その後、透湿シートの上にラス(金網)を貼ります。ラスは塗装の下地になります。
ラスの上に下地軽量モルタルを塗ります。この後さらに「中塗り」と言われる仕上げモルタルを塗り、「上塗り」という最終仕上げ材を塗ります。上塗り材は、様々ですが弊社では「イタリア製の漆喰」をご希望されるお客様が多いです。外装だけで、下地から上塗りまで合計三回塗りますので、サイディング※に比べ手間が掛かりますが、左官と言われる「湿式工法」は味わい深いものです。
※サイディングはサイディングパネルを貼り付けるだけなので早く仕上がる
小屋と一体化させたパーゴラの取り付けです。材木は全て事前に腐朽処理をしたものを使います。
パーゴラ下の土間、まずはモルタルで下地を制作します。板で型枠を作ります。今回は少し丸いポーチです。
イタリア漆喰を仕上げに塗っています。イタリア漆喰は、骨材に大理石の粉が使われているため、ホームセンターで売られている屋根漆喰などに比べ汚れにくい特徴があります。色は12色程度あります。今回はシンプルに本当に白い白色の漆喰です。
今回のドアは弊社で制作したオリジナルドアです。色はお客様のお好みで黒色。大人可愛い感じです。石貼りに関しては、石はカナダ産の玄武岩を選びました。ゴツゴツとした表情で硬さが伝わってきます。
ポーチの仕上げです。ポーチの上塗り剤は、土のように見えますが、強度はセメント同様という素材を使っています。仕上がりが自然な色合いになります。
今回の庭小屋は、純粋に物置のため棚を取り付け、モルタル土間で、下地のままです。小屋の室内にクーラーを設置することも可能ですが、その場合は断熱材を入れ仕上げます。また、仕上げは、壁紙や左官、板張りなどお客様のご要望で仕上げることも可能です。
小屋制作には電気配管もご要望される場合も多いです。また、小屋内外部に、水道を設置する場合もございます。
ライト等を取り付け完成です。ライトもお客様からのご支給が可能です。事前にご相談ください。
まとめ
このように小屋ができるまでには、様々な過程を通じて、様々な職人技術が必要となってきます。建築の要素、外構の要素、植栽の要素、これらの諸技術が結実することにより、小屋は生まれます。とくに、庭小屋はその名の示すとおり、庭に「立ち現れる」と同時に庭を「内在」する存在でもありたいと考えています。私たちは、庭小屋は、単体の建築物として庭に置かれるのではなく、庭の仲間として、庭全体をシンボリックに表現するものであると考えています。ひとつづつの庭にひとつづつの庭小屋が必要な理由はそこにあります。お客様にとって、庭小屋はいつもオンリーワンな小屋であって欲しいと願っています。