小屋を愉しむ「5つの入り口」

投稿:2018/11/26

眺める愉しさ

日本では長らく庭という「空間」は、遊んだり、使ったりすることよりも、視覚的な景観を愉しむことに重きをおかれてきました。私たちは、庭という空間を想起するとき、無意識に「美しさ」や「安らぎ」などを思います。

私たちにとって、庭を眺めることは「旬」という季節を知ること、石や樹木による自然風景を思いおこす機会になっています。庭小屋は、こうした自然風景との調和を目指して、設計、製作されてきました。木や漆喰などの自然素材を多用する一方、人工的な建築材料を「目に触れない」ように配置する。そのような工夫がされています。

「眺めて楽しい小屋」「植物の背景になる小屋」「庭のために生まれた庭小屋」、これらは日本人の庭を見る楽しみを原点としています。

使う愉しさ

従来、庭を「使う」という文化は日本庭園の中で比較的小さな比重に過ぎませんでした。

一方、西洋の庭園では、ベンチが置かれていたり、フラワーベットと言われる花壇があり、果樹があり、空間を使う楽しみに溢れています。

他方、日本の有名庭園の写真の中には「人影」がありません。しかし、座敷を喪失し、リビングが中心となった現代の家では、庭を眺めるだけでは良いのでしょうか?そして、リビングに似合った「家族のための庭」ってどんなカタチなのでしょうか?

こうした庭空間を「使った」新しいライフスタイルの模索が今始まっています。

家族でBBQをしたり、友人とお茶を飲む。そんな場所として「庭空間」を使いたい。庭小屋は、時に集う場所として、また、雨に濡れないソトとして、今までとはちょっと違ったあなたの新しいソト暮らしをサポートするツールなのです。

夢見る愉しさ

ヨーロッパの庭園の源流には、エデンの園や古代ギリシャローマ時代のアルカディアの影響があります。庭は、パラダイスやユートピアと言われる「憧れの世界」を再現する場所として作られてきました。「夢をカタチにした」場所でもあったのです。

そうした気持ちは、文化や歴史が異なりますが、私たちにも繋がっています。花に囲まれ、木々の木漏れ日の下で過ごしたい。広大な庭園でなくとも、庭でそんな夢を見て過ごしてみたい。誰でも、自分の気に入った空間を中に身を浸してみたいという願望があります。

多くの庭小屋は、敷地の状況やご要望に沿って、小屋の形だけでなく、周囲に植える植物の種類、配置、水栓やシンクの有無、電気設備までトータルデザインされます。ただ小屋を作るだけでなく、「あなたの世界」を作ることを目的にしているからです。それは、庭小屋がひとりのひとりの夢を叶えるためのアイテムである証です。

暮らしの愉しさ

人間の暮らしは、寝ることや食事をすることだけを指すのではなく、振る舞いや安らぎなども含みます。暮らしを豊かにすることは、経済的な問題だけでなく、自分の気に入った「フェイバリットな世界」を手に入れていくことだとも言えます。

オーダメイドで設計・施工される庭小屋は大きさもカタチも同じものがありません。現地の状況やお客様のご要望に応じて全て現場でハンドメイドで作られていきます。

例えば、ソトには物置が必要。ベンチも欲しい。物干しも大切。遮蔽もしたい。こうした暮らしひとつづつのご要望に対して、庭小屋なら、物干しの機能があり、ベンチがついた遮蔽にも役立つ物置をトータルデザインして作ることができます。

庭小屋は、全てオリジナルだからできる、カタログでは決して出会わないオンリーワンの小屋なのです。

自分だけのものを作る愉しさ

「気に入ったステンドガラスを小屋に使ってもらえるだろうか?」「オークションで落としたドアを取り付けて欲しい」「漆喰壁を塗ってみたい」「ペンキ塗りをしてみたい」「不思議の国のアリスをモチーフに小屋を考えて欲しい」「魔女の宅急便に出てくる部屋の一部を再現したい」。これらは全て過去に本当にあったご要望の一部です。

既製のものを購入する愉しさとは違う愉しさが庭小屋作りにはあります。

ただ、購入していただくだけでなく、ある時は設計者の視点で参加して頂き、ある時はデザイナーであり、作業員にもなれる。庭小屋は「小屋作り」のプロセスも商品の一部だと考えています。そのため、お客様からの材料支給に関して出来るだけの対応をさせて頂いております。一方、デザインやアイデアも受け付けております。

それは、お客様が一番最初の「オーディエンス(観客)」であると思うからです。

関連記事